記事:「台湾」名での国連加盟見直し、劉・次期行政院長が方針

「台湾」名での国連加盟見直し、劉・次期行政院長が方針

 

台北=石井利尚】台湾の劉兆玄次期行政院長(首相)(65)は13日、読売新聞のインタビューに応じ、独立志向の陳水扁民進党政権が推進した「台湾」名での国連加盟方針を見直す考えを表明した。

 中国は、「台湾」名での加盟に対して「独立の動き」と強く反発しており、見直しは中台関係改善を後押ししそうだ。劉氏は20日の馬英九・国民党政権発足で院長に就任する。

 劉氏は「国連加盟は多くの住民の願いだが、実務的な方式に見直す」と言明した。劉氏は「過去のやり方は台湾に有益ではなく、国際社会でも多くの支持を得られなかった」と総括。「今の正式国名は『中華民国』だ」と述べ、「台湾」名を強行しない姿勢を示した。

 対外政策について、劉氏は、「開放が新政権の方針だ」と述べ、日本やシンガポールなど周辺諸国との自由貿易協定(FTA)締結を推進すると表明。劉氏は「台湾は鎖国的なやり方から抜け出すべきだ。日本が積極的な態度を示すことを期待している」と述べた。対中関係では中台直行チャーター便の週末運航と中国人観光客解禁の7月実現を「楽観視している」と話した。

 また、陳政権は「台湾は中国とは別」との台湾重視の歴史教育を推進したが、劉氏は「大多数の住民は中国大陸から渡ってきており、台湾の文化の源泉は中華文化だ。脱中国化には賛成できない」と述べた。

(2008年5月14日08時57分 読売新聞)