記事:徳田球一いる日本へ返還を

徳田球一いる日本へ返還を」=沖縄帰属で共産書記長に配慮―中国

時事通信 5月4日(土)14時16分配信

 【北京時事】中華人民共和国(中国)が1949年に成立後、第2次世界大戦に敗れた日本との講和会議に備えて50年5月、中国外務省主催で開いた内部討論会などの場で、日本共産党徳田球一書記長(当時)が沖縄出身という理由から「中国は琉球(沖縄)の日本への返還を主張すべきだ」との意見が出ていたことが4日分かった。北京の外務省档案館(外交史料館)収蔵の外交文書や、当時を知る複数の中国共産党元幹部の証言から判明した。
 沖縄は45年の終戦後、米国の占領統治下に置かれていたが、中国政府内には「琉球を取り戻せ」と唱える声もあった。「沖縄は日本のもの」(中国共産党元幹部)という認識がその後、中国で定着し、領有権を主張しなくなった裏には、徳田氏の存在があった。
 この外交文書は、50年5月12〜19日に開いた討論会での発言録を掲載した「対日和約(講和条約)問題についてわが外交部が進めた討論会記録」(計69ページ)。時事通信は原文コピーを入手した。
 それによると、領土問題を議論した5月17日の討論会では、著名な日本専門家で上海の大公報紙副編集長だった李純青氏が沖縄について「経済的に何の価値もない。国防上の観点からも琉球を取り戻す理由はない」とした上で、「もし日本人に返せば、日本人に良い影響を与えられる。日本共産党徳田球一もまた琉球人だ。(琉球が米中などの)信託統治にならなければ、日本に返還することもできる」と主張した。