記事:米軍、中国に核爆弾投下計画=58年の台湾海峡危機

米軍、中国に核爆弾投下計画=58年の台湾海峡危機−機密文書

5月1日10時1分配信 時事通信

 【ワシントン30日時事】中国軍が金門島を砲撃した1958年の第二次台湾海峡危機の際、米空軍が中国に核爆弾を投下する計画を立てたものの、当時のアイゼンハワー大統領が認めなかったことが30日、ジョージ・ワシントン大学の研究機関が情報公開法に基づいて入手した米軍機密文書で明らかになった。
 機密文書は、当時の米空軍戦史担当者の報告書で、当時高まった「核危機」への米側の具体的対応が判明した。
 文書によると、台湾海峡危機が高まった場合、空軍は10〜15キロトン級の核爆弾を中国福建省アモイに投下することを検討し、効果がなければ、中国大陸の複数の飛行場に追加の爆撃をすることも計画。核爆弾を投下した場合は、沖縄と台湾が核兵器による報復を受ける恐れがあることも想定していた。 

中国に核攻撃を検討 50年前 米が機密文書を公開

5月1日11時31分配信 産経新聞

 【ワシントン=山本秀也台湾海峡で中台両軍が局地紛争に陥った1958年8月、米国が中国沿岸の前線都市アモイ(厦門)周辺への核攻撃を検討したことを示す機密文書が公開された。米軍の策定した攻撃計画は、空軍機から10〜15トンの戦術核爆弾を投下する内容だったが、最終的にアイゼンハワー大統領(当時)の反対で回避された。
 ジョージ・ワシントン大学の研究機関を通じて公開された文書は、台湾、キューバなど58〜65年に世界各地で起きた5つの危機に対し、米空軍がどう対応したのかを地域別に総括した資料。空軍戦史部が68年に作成していた。
 この文書によると、中国への核攻撃計画は58年8月中旬、台湾支配下金門島中国人民解放軍の激しい砲撃を受ける第2次台湾海峡危機を数日後に控えた緊張の中で、トワイニング統合参謀本部議長らを交えて検討された。「沖縄、台湾への核報復というリスク」が将来的にあっても、蒋介石政権が支配する離島を防衛するというのが同議長の構想。中国側への抑止効果が薄ければ、上海などさらに広い範囲への追加攻撃も想定された。
 しかし、アイゼンハワー大統領が、「仮に金門島が中国側に制圧された場合でも、核兵器の使用は見送る」との意向を統合参謀本部議長に伝えたことで、計画は撤回された。核戦争を誘発する危険に加え、放射性物質による被害や、台湾側の防衛範囲に対する影響を米政権は懸念。ホワイトハウスでの会議で、同大統領は金門島への補給を米艦艇で護衛するなど、歴史が示す通りの決断を下していた。
 文書は、「共産側の侵攻が続いた場合は、核攻撃が実行されていただろう」との判断を示している。当時、米国は蒋介石政権との間で、「米華相互防衛条約」を締結しており、核兵器の使用検討のほか、台湾への軍事支援は同条約に基づいて進められた。