河村欣二編『外務省』

外務省記者クラブ・河村欣二編『外務省』(朋文社、1956年)
本書が出された1956年は、吉田時代に閑職に遠ざけられていた重光系の外交官が中央や主要国大使に復活した時期であり、本書は、外務省担当記者達による外交官の人間模様の悲喜こもごもが描かれている。吉田系と重光系の二つのラインに沿って外務省人事の説明がなされている点は興味深い。一部の外交官への人物批評は辛辣きわまりないが、日ソ国交回復交渉、さらには国連加盟を控えた当時の外務省内の雰囲気がよくわかる本である。なお同書は「お役所シリーズ」として外務省以外の他官庁も出版されているようである。