元卓球世界王者、荘則棟氏死去=「米中ピンポン外交」の立役者

元卓球世界王者、荘則棟氏死去=「米中ピンポン外交」の立役者

時事通信 2月10日(日)20時14分配信

 【北京時事】卓球男子の元世界チャンピオンで米中ピンポン外交の立役者となった荘則棟氏が10日、病気のため北京で死去した。72歳だった。新華社が伝えた。妻は佐々木敦子さん。
 江蘇省揚州市生まれ。世界選手権で1961年北京大会からシングルスで3連覇を果たし、団体3連覇にも貢献した。文化大革命の影響で、中国はその後2回世界選手権に参加できなかったが、71年の名古屋での世界選手権で国際大会に復帰した。大会中、中国と緊張状態にあった米国の選手と荘氏が接触したのを端緒に、政府が米国チームを中国に招待し、いわゆる「ピンポン外交」に発展。翌年のニクソン米大統領の訪中につながった。
 74年、33歳の若さで国家体育運動委員会主任(閣僚)に起用されたが、四人組逮捕に伴い失脚。4年間投獄され、著名なピアニストだった妻と子供に去られた。名古屋大会で訪日した際に通訳を務めた佐々木さんと85年に北京で再会。結婚を決意したが、中国政府の許可が下りず、当時天津市長だった李瑞環氏(元共産党政治局常務委員)に働き掛け、トウ小平氏の許可を得て87年に結婚した。
 その後、名誉を回復し、96年に発行した自叙伝はベストセラーになった。5年前から直腸がんを患い、闘病生活を送っていた。