記事:真偽不明の「溥儀の米国債」、京都府警が捜査

ラストエンペラー」として知られる清朝最後の皇帝溥儀(ふぎ)や宮家から伝わるという真偽不明の巨額の「米国債」をめぐり、京都市下京区経営コンサルタント男性(72)や大阪市西区の元病院経営男性(74)らが昨秋以降、米国債の換金経費や投資名目に資金集めを行っていたことが17日までに、京都新聞の取材で分かった。大手証券会社の広報担当者は「荒唐無稽な話だ」としている。京都府警も事実を把握し、出資者から事情を聴いている。

 関係者によると、コンサル男性らは昨年10月、下京区の呉服業者(68)に「12兆円相当の米国債を銀行の貸金庫に預けている。取り出す金が必要」と持ち掛けた。国債は1934(昭和9)年に米国が乱発し、溥儀や日本の皇族の所有を経て、現在は千葉県の医療コンサルタントを名乗る男性(61)に譲渡されていると説明。3カ月後には大手証券会社が300億円で買い取るとした上で「換金後に5千万円を支払う」と約束し、呉服業者から投資金名目で500万円を預かった。

 だが当初約束した期限が来ても金は支払われず、全額返済を要求された男性らは「すぐに入金する」と繰り返すだけで応じないため呉服業者は6月、五条署に被害を相談した。

 コンサル男性らは山科区の建設会社社長(49)にも昨夏、同様の話を持ち掛け、1千万円を集めようとして断られたという。呉服業者は「米国債はしっかりした箱に入っていて本物と思った。ほかにも被害に遭った人がいるのでは」と語る。

 コンサル男性は、京都新聞の取材に「FRB米連邦準備制度理事会)の関係者に債権は本物と断定してもらった。詐欺ではない」と話した。

2011年07月18日『京都新聞