記事:公文書の管理、作成30年で公開を 有識者委提言

 外務省の有識者委員会は公文書を「健全な民主主義の根幹を支える国民共有の知的資源」と位置付け、管理や公開方法を提言した。(1)国際標準である作成後30年を経過した文書の原則公開の徹底と審査体制の拡充(2)文書の保存・利用や評価選別に際して専門家の支援を得られる仕組みづくり(3)公開文書の対象の判断に政治家も関与――などを挙げた。

 提言の背景には、核を巡る密約のように米国が文書を公開したにもかかわらず、日本が非公開の場合、相手国の資料を基に一方的な歴史がつくられかねないとの懸念がある。外交や防衛に関する文書の開示は他の分野に比べてハードルが高く、外務省などが不開示を決めれば、国民の目に触れる機会がなくなる恐れも考慮した。

 提言では情報公開法に基づく開示請求制度の使いにくさも指摘。開示、不開示の基準があいまいであり、定められた期間での開示の是非の決定ができない例も多い。利用者に配慮できる制度改善のためのモニタリングの導入や指針作りも打ち出した。(00:32)
日本経済新聞2010/3/9