記事:台湾の帰属「確定してない」 日本の窓口代表発言に反発

台湾の帰属「確定してない」 日本の窓口代表発言に反発

台北=野嶋剛】日本の台湾窓口、交流協会台北事務所の斎藤正樹代表が1日、台湾南部・嘉義県での講演で「サンフランシスコ平和条約で日本が台湾の領有権を放棄後、台湾の国際的地位は確定していない」と発言し、台湾外交部(外務省)から「我々の立場と相いれない発言で受け入れられない」と強い抗議を受けた。

 講演の場にいた台湾・国家安全会議の楊永明諮問委員(閣僚級)がその場で抗議し、馬英九(マー・インチウ)総統に報告。夏立言・外交部次官が斎藤代表を呼んで正式に抗議した。斎藤代表は個人的見解だったとして謝罪し、発言を撤回した。

 台湾の帰属について、日本は一切の見解を示さない立場。斎藤代表の発言はその点を踏み越えた形だった。ただ、台湾が日本にここまで強い態度に出るのも異例。主権問題に敏感な馬政権の姿勢の表れと見られる。台湾の地元紙は2日の朝刊1面などで大きく取り上げた。

朝日新聞』2009年5月3日