記事:王毅前駐日大使が台湾担当閣僚級に

王毅前駐日大使が台湾担当閣僚級に 中台改善で異例人事

【北京=藤原秀人】中国国営新華社通信は3日、中国の前駐日大使で筆頭外務次官を務めていた王毅(ワン・イー)氏(54)が、対台湾政策を主管する国務院(政府)台湾事務弁公室主任(閣僚級)に就任した、と報じた。台湾で国民党の馬英九(マー・インチウ)政権が5月に発足し、中台関係は大きく改善。中国側は台湾の国際社会での活動を一部容認する構えを見せており、外交通の王氏の起用はその流れを受けたものだ。台湾弁公室主任に外務省幹部が就任するのは異例だ。

 前主任の陳雲林氏は3日、中国の対台湾交流窓口機関である海峡両岸関係協会の会長に就任した。台湾側の対中窓口である海峡交流基金会の江丙坤理事長と、近く9年ぶりの中台対話に臨む予定だ。

 中国は台湾の陳水扁前政権の外交活動を独立につながるとみて強く反対してきた。だが、「一つの中国」を掲げる馬政権の誕生を受けて胡錦濤(フー・チンタオ)国家主席は5月28日、訪中した呉伯雄(ウー・ポーシュン)国民党主席に、台湾側が求めてきた世界保健機関(WHO)へのオブザーバー参加など、国際社会での活動についても前向きに応じるとの意向を表明していた。

 王氏は駐日公使や外務省アジア局長、次官などを経て04年から3年間、駐日大使。中国政府きっての日本通で、台湾と日本の関係にも詳しい。

朝日新聞』2008年06月03日13時44分