記事:「日本が多数の核製造も」キッシンジャー氏懸念

「日本が多数の核製造も」キッシンジャー氏懸念 74年の米公文書

 

フォード米政権の国務長官だったヘンリー・キッシンジャー氏が1974年8月、「日本は現行の核拡散防止条約(NPT)の枠組みで、多数の核爆弾を製造することができる」と述べ、日本の核武装に強い懸念を示していたことが7日、機密指定を解除された米公文書で分かった。

 70年代の米外交を主導したキッシンジャー氏は、74年5月にシリアのハフェズ・アサド大統領(当時)との会談でも日本の核武装に言及したほか、最近の論評でも日本の核保有の可能性を指摘。今回の文書は、同氏が日本に対して根深い不信感と警戒感を抱いていたことを物語っている。

 国家安全保障会議(NSC)の会談記録(極秘)によると、キッシンジャー氏は同年8月21日にオーストラリアのショー駐米大使(当時)と会談し「私は日本が核を保有すると常に信じてきた」と言明した。

 会談はインドによる初の地下核実験の3カ月後で、同氏は核拡散を懸念する大使に、NPTは核兵器を製造し爆発させた国だけを「核保有国」と定義していると説明。日本が核実験をしないまま「多数の核爆弾」を獲得する可能性に言及した。

 日本が開発中だった気象衛星打ち上げロケットについても「気象観測だけが目的ではないはずだ」と述べ、核弾頭を運搬できる軍事ミサイルへの転用の恐れを示唆した。(共同)


(2007/04/07 19:38)産経新聞